私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)

「確か、そちらは、今後延びる可能性のある企業との繋りが持ちたいとこの婚約話を持ちかけて来られたはずじゃが…。」

「それがどう…っ!!」

そこでようやく陣之内総一郎は自身の失言に気づいたように言葉を止める。

それをわかった上で源之助さんは口を開く。

「なぜ、偽名を使う、正体不明の者と未だ婚約を結ばせようとされる?」

「ッ…」

偽名の話をここで持ち出すべきじゃない。向こうのスタンスはあくまで宮内琴葉だと気づかないままで婚約まで持ち込むべきだった。

そうでなければ、彼らは宮内琴葉との結びを求めていることに即決してしまうから。

「ッ…あまりに美しい娘だったからの。見映えが良ければ花になるというもの。違うかな」

苦し紛れの言い訳にしか聞こえない。
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