私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)

「宮内は、口下手だが、誰ともまともに会話出来なかった姉上が唯一話せる相手だった。あの時の宮内は、正直見れたものではなかったが、確実に姉上の心を癒していた」

その後は聞くまでもない。

お母さんは、お父さんと結婚して、私が生まれた。それは事実であることに変わりないんだから。

「父は渋った様子は見せたが、反対こそしなかった。…お前は知らないだろうが、宮内は老舗の和装店の3男坊だから、家柄も悪くないからな」

さらりと言われたことに思わず目を見張る。

でも、同時にまともに両親の親…祖父母にはほとんど会ったことがなかったことを思い出す。

それは、家との縁を切ろうとしていたから…?

お父さんはとにかく、お母さんからはそんな意思さえも感じる気がする。…おばあ様でさえ、本当の祖母と教えられたことはなかったはずだから。

でも、実感はない。いくらおばあ様を見ても、自分の祖母としては見れなかったし、私に陣之内家の血が流れているなんて信じられなかった。
< 213 / 407 >

この作品をシェア

pagetop