私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)
「いいえ。私は、自分で戻れます。だから、大丈夫です」
警察の人は少し目を見開く。
季龍さんを見上げれば、フッと笑みを向けられる。握った手は離されることなく、強く握られた。
私たちのそんな様子に、警察は少し迷ったようだった。
「…では、宮内さんのご家族に連絡しても構いませんね」
それは譲れないというように、断言する言い方だ。それでも、季龍さんは構わないと言うように、警察から視線を完全に外していた。
それを見て頷くと、警察は今度こそ折れて離れていく。
そして、旦那様と話をして部屋を出ていった。
まるで、嵐が去ったように静まり返った部屋。初めに動いたのは旦那様だった。
「永塚殿、我々はこれで失礼いたします。…どうか、琴葉をよろしくお願いします」
「…あぁ」
少し間のあった返答に、旦那様は一瞬眉を潜める。それでも、これ以上ここに留まる理由もなかった。