私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)
―ゴンッ
何かが落ちる音に肩が跳ねる。何が落ちたんだ…?
釣られるように振り返って、息を止めた。
いや、正確には体が一瞬で硬直したと言っていい。
…目があった。黒い瞳だ。表情と一緒にころころ変わったイロをする瞳。
半年間、見ることがなかった目。それに、自分の姿が映っていた。
「…こと、ね……?」
「…」
「ッ琴音!!?」
我に返った瞬間、季龍はイスを倒す勢いで立ち上がり、琴音の元に駆ける。
ベッドの枕元に膝をつくと、至近距離で琴音の顔が見える。
目を覚ましている。眠り続けていたはずの琴音が、目を覚ましていた。
琴音の頬に触れる。情けない顔が琴音の瞳に映るのを見て、言葉が詰まる。
待ち望んでいたはずの瞬間。
それなのに言葉は何も出なくて、ただただこみ上げてくるものを飲み込むことに全力をかけるのが精いっぱいで、指1つ動かせなくなった自分に呆れることしかできなかった。