私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)
「平沢、どけ。組長命令だ」
「いくら親父の言うことでも、それはできねぇな」
源之助さんの言葉に即座に返した平沢さんは、ゆっくりとした動作で立ち上がりながら、私の前に立つ。まるで、自分が盾になるかのように。
でも、源之助さんは動じた様子を見せない。
それどころか、銃口を平沢さんに向ける。その直後、再び発砲音が響く。
「っぐ…」
「聞こえなかったか。組長命令、そう言っただろう」
淡々とした言葉。なんのためらいなく、平沢さんを撃った源之助さんは、今まで見たことがないほど、冷めきった目をしていた。
「ッ平沢さん!!」
踏み出そうとしたその足元に撃ち込まれた銃弾に足が止まる。
源之助さんは、いつの間にか私に銃口を向け直していた。
「汚れた手で触れようとするな。そのまま下がりなさい」
「…げ「聞こえないか?早くしなさい」」
有無を言わせない声に自然と足は下がる。一歩一歩、下がっていき、平沢さんから丁度2メートルくらい離れて足を止めると、源之助さんはそれ以上何も言わなかった。