私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)

季龍さんは悲しそうに笑みを浮かべる。

違う。そんな顔、させたいんじゃない。そんな顔、させたくない。

私は、季龍さんの枷に、季龍さんの弱みになんか、なりたくないのに。

「…これから永塚組は、2つに別れる。1つは、今後も組として。もう1つは、田部を筆頭に表の世界で生きていく」

そのことは、少し噂になって永塚組の中で話されていた。

今回手に入れた、陣之内家の経営権と財産。それは、表の世界で生きる分には十分な権力を持ってる。

永塚組は分裂する。きっと、その2つは今後、交わることはなくなるだろう…って。

「…季龍さんは、どっちに行くんですか?」

「…」

季龍さんは一瞬目を見開いた。だけど、それは誤魔化されるように笑みにかき消される。
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