私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)
「…はぁ」
季龍さんは、どうして部屋を分けたんだろう。
…おかしいことなんて、ないじゃない。付き合ってもいない、男女が同じ部屋に泊まるなんておかしいもの。
今まで季龍さんと同じベッドで寝たことがあるくせに、部屋を分けられる何て思ってなかった。
季龍さんは1人になる時間が欲しかったんだよ。だって、ずっと探していたお母さんとあんな再会をしたんだから。
私が逃げることは考えていなかったの?部屋なんて分けたら、いつ私が外に出たって分からないのに。
…違う。私は、私はただ、季龍さんのそばにいたかっただけ。
浮かんだ考えてがその言葉ですべて消えていく。
そうだよ。私はただ季龍さんのそばにいたかっただけ。季龍さんにそばにいて欲しかっただけ。
これは、私のエゴだ。
自嘲が浮かぶ。
いつからだろう。こんな風に、自分勝手になってしまったのは。
季龍さんは私のご主人様であることはずっと変わっていないのに。
“私”が変わっていく。使用人としての、“私”が薄れていっている。