私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)
季龍さんの入っていったドアを見る。
…季龍さん、いるのかな?もし、もうここにいなかったら、私は、どこに行けばいい…?
ドアの隣についたインターホンに手を伸ばす。押しかけたそれから、ゆっくりと手を下す。
…もし、部屋にいたら、こんな時間に非常識だ。
始発までにまだ時間はある。このホテルは駅と直結。30分くらい前なら、余裕で間に合うだろう。
…待っていよう。寒いけど、我慢できないほどじゃない。
ドアとドアの間あたりで膝を抱える。
…バカみたい。私は、こんなに臆病だったっけ?
ううん。私は、ずっと弱かった。
捨てられるのが怖くて、失望されるのが怖くて、いらないって見捨てられるのが怖くて。
だから、甘えるのをやめた。すがるのをやめた。…弱さを見せるのを、泣くこともできなくなったのは、きっとそのせいだ。
私はずっと、弱虫だ。
だから、今は…季龍さんに、好きになってしまった人に捨てられるのが怖いんだ。