私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)
権利
季龍さんに起こされると、行きに乗ってきた駅に着く前だった。
手を引かれて新幹線を降り、電車を乗り換えて最寄りの駅までたどり着く。
駅のロータリーに出ると、まるで連絡を受けていたかのように、見覚えのある高級車が停まっていることに気がついた。
当然のように、運転席から現れた信洋さんは、見たこともないような真剣な目で近付いてくる。
「おかえり」
「…」
「もう勝手は許されないことくらい、分かってるよな?」
信洋さんの言動は、季龍さんに選択肢なんて与えていない。
立場が逆転している。まるで、わがままな弟をたしなめる兄のような態度だ。
季龍さんはなにも言わず、私の手を引いたまま車に近づいていく。後を付いてくる信洋さんは、私たちが車に乗り込むのをわざわざ確認して運転席に乗り込んだ。