私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)
だからと言って文句ばかりは言っていられない。
俺がやると決めたことだ。俺がやらなければいけない。
移動中に資料をめくるのも、もう日課だ。
資料をめくっていると、何かが足元に落ちる。それを拾い上げた時、周囲の音が消える。
笑った琴音が写っていた。
いつも周りに振り撒いていた、あの優しい顔だった。
『若、最近どうかしたんですか?』
先ほどの奏多の言葉を思いだす。
どうかしたかと言われて当然だ。俺はもう、琴音の顔をまともにみる時間すら空けることなく仕事をしていた。
片時も目を離さないようにしていたはずなのに…。いつの間にか、琴音の様子を見ることもなくなっていた。