私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)
部屋に戻ると、急ぎなのか奏多さんと森末さんは早足に去っていく。
なんか、この感じ久しぶりだな…。前はよく、こうやって会議がされてたっけ。
「梨々香ちゃんは行かなくていいの?」
「うん。…今回のは、お兄ちゃんたちがいない間に話を聞いたから」
「やっぱり、これからのこと、だよね」
梨々香ちゃんは無言でうなづく。
予想はしていたけど、梨々香ちゃんがしてくれた話はやっぱり想像していたものと同じだった。
永塚組はこれから別れていく。
1つは表の世界で、会社員として、ルールと法律に守れた生活をしていく。
1つは裏の世界で、これまでと同じヤクザとして、常識を逸した生活を続けていく。
1度裏の世界に足を踏み入れたものは、表の世界に戻るのには裏の世界に足を踏み入れた時とは比べ物にならないほどの困難を抱える。
でも、今回はその苦労の一切を要さない。表の世界に戻るには、これ以上にない機会だ。
だからこそ、よく考えないといけない。
表の世界に行くか、裏の世界にとどまり続けるのか…。