私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)

梨々香ちゃんは静かに離れていく。顔を上げて微笑んだ梨々香ちゃんは、先ほどまでの不安などかけらも見せていなかった。

「ことねぇは、どうするの?」

「え?」

急に投げられた質問に思わず呆ける。

どうするって…。私に選択肢なんて、あるのかな…。

考えはした。だけど、そもそも自分に選ぶ権利なんてないかもしれないと考えるのをやめた。

でも、梨々香ちゃんは当然のように尋ねてきて、その安易な考えがひどく恥ずかしく感じた。

「私は…どうするんだろうね」

「おいおい、これからの人生を決める重大な答えになんつう回答だ」

急に会話に入ってきた声に驚いて肩が跳ねる。弾かれたように振り返ると、呆れた顔でこちらを見つめる平沢さんの姿が見えた。

「平沢さん!?」

「おう。こんなくそ大変な時にのんきに旅行なんて行ってんじゃねぇよ」

「ッ怪我は…警察に捕まったんじゃないんですか!?」

頭の中が混乱してまともな質問ができない。

平沢さんは源之助さんに拳銃で撃たれたはずだ。そして、源之助さんに撃ち返し、警察に御用になったはず…。
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