私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)

「…琴音、俺は…。俺たちはな、表の世界で生きるには手を汚しすぎた。そんな奴らはな、表で生きるのが返って苦痛なんだよ」

「…でも、選択肢は全員にあるって」

「場合によるな。…それに、裏で生きるやつはな、表で生きるやつの分まで汚れを背負わなきゃなんねぇ。俺は、他の誰かに俺の分の汚れを背負わせる気なんかねぇよ」

裏の世界で生きる覚悟を見せられた気がした。

生半可な気持ちで生き残れるほど、この世界は甘くない。

平沢さんは、裏の世界で生きてきた人だ。その覚悟も、信念も、到底私なんかが理解できないだろう。

「できれば、若い奴らは全員、表に行ってほしい。若い奴らは未来がある。今ならまだ戻れる奴らばっかだ」

俺のエゴだけどなと付け加えた平沢さんは、深く息を吸って吐き出す。その口からこぼれる白煙の行方をぼんやりと見つめる。…白煙?

ハッと平沢さんを見ると、いつの間にか煙草を手にしていた。
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