私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)
「え?…え!?」
「俺から物掏ろうなんて、100万年はえぇな。琴音」
にやりと笑みを浮かべた平沢さんは、再び上機嫌に煙草に口をつける。
美味しそうに煙草を吸う姿に、怒る気すら失せてため息をついて見せた。
「…おかしな事を言うけどよ。もし、若が…季龍が裏社会に行くっつうなら、琴音お前が隣にいてやってほしい」
「え?」
さっきと真逆の言葉。
平沢さんは自身の口から溢した白い煙の行方を見つめながら、ゆっくりとした仕草で私に視線を向けた。
「この世界は常に命を狙われる恐怖と隣り合わせだ。…気を抜けば、簡単にお陀仏しちまう」
「…」
「だからこそ、生きてやるっつう気持ちがいざという時に命を繋ぐ。その気持ちを1番手っ取り早く身に付ける方法は分かるか?」
「…帰る場所。…待っていてくれる人を作ること?」
平沢さんは笑う。正解だとこぼし、再び頭を撫でられた。