私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)
仕方ねぇだろ。関原の後始末に、学校、若頭としての仕事。やらなきゃいけないことは山のようにある。琴音を見ていられる時間なんてなかった。
それに、何もできない俺が見るより、暁や奏多に任せている方がずっと琴音の回復が早いはずだ。
…違う。違うだろ。
俺は、琴音から逃げんだ。
いくら呼んでも、いくら話しかけても、いくら抱きしめても、なにも、何も反応のない琴音に諦めをつけた。
諦めて、そしてそれ以上傷つかない様に琴音を遠ざけた。
すべて、俺の勝手だ…。
『琴音が寝たきりになったとしても、俺があいつを捨てるわけねぇだろうが』
何が捨てないだ。俺が今してるのは、琴音を捨てたのと同じじゃねぇか…。
なさけねぇ。これが、命がけで助けられた奴のすることかよ。
「…琴音」
俺は、お前の傍にいる資格なんか、ないのかもしれないな…。
息をつく。写真を伏せ、資料に目を通した。