私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)

平沢さんの後ろ姿を見送って、空を見上げる。

満月だ…。手を伸ばせば掴めるような気がして、手を伸ばす。

視界から月は消える。

手を握り、手を下げると、当然空には月が浮かんでいて、手元で開いた手の中には何もない。

…選択肢、かぁ。

今まで、決められるままに歩んできた道だ。そこに私の意思なんて、関係なかった。

まさか、こんな大切な場面で自分で選べなんて、言われるなんてなぁ…。

選択肢の先の正解なんてわからない。

進まなきゃ、選んでからじゃないと分からない。

…私は、どこで、誰と生きていきたいんだろう。

夜空に浮かぶ月を見つめる。暗闇を唯一照らす月は、答えを教えてくれるんじゃないかって、そんなことを思って…。
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