私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)
「琴音、味見」
「え?…暁くん、もう必要ないと思うよ?」
小皿を差し出してくる暁くんに首をかしげる。
私が意識不明で眠っている間ずっと台所は暁くんと奏太さんの2人でやっていたと聞いた。
私も目が覚めてからやっていなくて、今日久しぶりに台所に入った。つまり、1年以上2人でご飯を作っていたということになる。
それならもう、私が味見なんてする必要ないような…?
「お姫様の味と俺らじゃ違うよ?せっかくお姫様が入ったんなら、お姫様の味にしたいじゃん?」
「そんなものですか?」
「早くしろ。濃くなる」
暁くんに促されて小皿を受けとる。
もう少しだけお砂糖を入れてもらって、かき混ぜていた大鍋の火を切った。
「奏太さん、そのお姫様っていつまでそう呼ぶんですか?」
「んー?だってお姫様はお姫様でしょ」
「私はただの使用人です」
「若の寵愛受けてる人はお姫様でしょー?」
「琴音って呼べばいいだろ」
暁くんも疑問だったのか、私に加勢してくれる。
すると、奏太さんは困ったように頭をかいた。