私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)

「ッおい、奏多」

「それ、ここちゃんの安眠アイテムなんで。それないとここちゃん寝てくれないんですよ~。じゃ、任せました!」

「おい!!」

部屋の中に押し込められたと同時に閉められた襖。

…どうすんだこれ。

閉じられた襖を見たまま、渡された物を握る。

振り向けなかった。振り向けば、琴音がいる。今更、琴音にどんな顔をすればいいのかわかんねぇ。

それに、怖いんだ。琴音がもう俺を見てくれないんじゃないか。もう、俺のことなんか見損なってるんじゃねぇかって…。

どうしろって言うんだよ…。

琴音に背を向けたまま、黙ることしかできねぇ。そんな自分が情けなくて、ますます琴音に顔を向けられなかった。

…出よう。今すぐ。これ以上ここにいられねぇ。

襖に手をかけようとした時、不意に引っ張られる。思わず振り返った時、息をするのを忘れた。
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