私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)

「季龍さんは、どうだったんですか?」

負けたような気がして聞き返すと、季龍さんは思い出すように空を見上げた。

「おふくろがいた頃は、一緒にやってたな。おふくろがいなくなってからは、自分の誕生日なんか考えてる余裕はなかったな」

「す、すみません…」

「なに謝ってんだ。今日は祝ってもらっただろ?」

無神経な質問過ぎた…。

後悔より先に季龍さんは笑う。その顔は悲しそうな気配は全くなくて、ただ私に苦笑してるだけに見えた。

「琴音、お前好きな食い物なんだ?」

脈絡のない話に呆ける。でも、季龍さんとそんな話をする機会なんてそうそうないとすぐに切り替える。

「え?1番好きなのはラーメンですね。ただし、塩に限る、です!」

「なんだそれ」

「あ、バカって思いましたよね?ラーメンはスープと麺で全然味変わるんですから!」
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