私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)
「…」
琴音がいた。寝たきりだったはずなのに、自分の足で立ってる。
表情は相変わらず変わらないまま。でも、今琴音は自分の意志で動いた…のか?
「…こと、ね」
「…」
また引っ張られる。それは、奏多に渡されたもので。それを見た瞬間、目頭が熱くなったのを自覚した。
琴音の安眠アイテムだと言っていた。それがまさか、俺の服だっていうのか…?
琴音は、まだ俺のことを見損なってないのか?
「…」
琴音の表情は変わらない。
でも、俺が持ったままの服を引っ張り続ける琴音に愛おしさを感じずにはいられなかった。
引っ張られている服を引けば、琴音は自然と前に来る。
簡単に腕の中に入って来た琴音を抱きしめると、その細さが嫌でも分かる。