私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)
「…琴音、悪かった」
「…」
「ごめんな…。お前から逃げたんだよ。琴音がどんなことになっても、ぜってぇ離さねぇって決めてたはずなのに…」
離れていかない様に抱きしめるのはずりぃって分かってる。でも、ここで琴音に離れられたら、全部崩れそうな気がした。
「琴音、もう一度だけ、もう一度だけでいいから。俺にお前を守る資格をくれ…」
「…」
返事はない。分かってる。…分かってんだろ。琴音は話せないし、自分の意志で動けねぇんだ。何を期待してるんだよ…。
ため息をこぼした時、不意に琴音の体が重くなり、慌てて倒れないように受け止める。
「琴音?」
「…」
…寝てんのか?さっきまで目を開けていたはずの琴音は目を閉じて寝息を立てている。
安眠場所くらいには、なれるのかもな…。
琴音の頭を撫で、抱き上げる。布団に寝かしつけ、その枕元に腰掛ける。
琴音の寝顔を見つめたまま、気づけば夜は明けていた。