私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)

「は、はい」

「お連れ様からこれを預かりました」

看護師さんが差し出してくる手に乗っているものに、スッと心が冷えていくのを感じた。

震える手を何とか動かして受け取ったそれに視線を落とす。その間に看護師さんは足早に去っていく。

…1回だけ、これを見た。それは、永塚組に行ってから日も浅かった、高校へ初めて行く日の朝に見せられたもの。

GPSがついていると言われた、ネックレスとアンクレットが、簡単に外せないようにと、信洋さんが持っていたあの鍵だ。

今こそ、この鍵はもう意味をなさないもの。でも、この鍵は私を永塚組から逃がさないようにと付けられた、首輪とも言えたネックレスとアンクレットの鍵だ。

そんなものを渡されるなんて、これが意味していることなんて、たった1つしかないじゃない…。
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