私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)

「…季龍、さん……」

体から力が抜けていく。その場に膝から崩れ落ちるように座り込む。

…なんで?なんで?……どうして?

どんなに答えを求めてもその答えが返ってくることなんてない。分かってる。私は、季龍さんに捨てられたんだ。

手のひらになにかが落ちる。視界が歪んでよく見えないそれは、水滴のよう。……涙?私、泣いてる?

頬に触れると濡れた感触がする。……涙、私泣いてる……。

自覚した途端。ポタポタと流れ落ちた涙が手に落ちて流れていく。

息を吸うと、喉で引っ掛かったようになってしまう。瞬きをすると更にポタポタと涙は流れ落ちる。

声を出そうとすると、喉の奥が鳴って口を覆う。鼻の奥がツンとしてきてかなり痛い。それでも、涙は止まらなくて、ズボンにシミを作っていく。

止まらない。…どうすれば、止まるの?どうやったら止まるの?

分からない。誰かに助けを求めようとしても、声を出すことも出来なくて、ただただその場に座り込んでしまっていた。
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