私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)
思わず子ネコを凝視していると、俺の視線に気づいたのか子ネコは俺に視線を向ける。
警戒心丸出しのその目は俺から視線を外そうともしない。
その時、背後から聞こえてきた足音に振り返ると、琴音の手を引いた暁と視線が重なる。
「…若」
「なんだ」
「…いえ、なんでもないです。おはようございます」
「あぁ。…どこか行くのか」
「いや、朝の散歩です。ってあ」
暁の視線が俺から離れたと同時に足の間を何かが通り過ぎていく。
「ミ~」
「こら、屋敷の中に入ってくんな!」
「ミ~!」
琴音の足元に纏わりついてんのは、さっきまで平沢が餌をやっていた子ネコだった。
暁の怒鳴り声にもひるむことなく琴音の足にすり寄っている子ネコに、度胸のあるやつだと思わず感心した。