私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)

「どうしたんですか?」

背後からかけられた声に、ゆっくりと振り返る。

目があった瞬間、相手はひどく驚いたように目を見開く。…久しぶりに会った彼は、記憶にある姿より身長も伸びていて、大人びて見えた。

「…こと?」

「ッ…うわぁぁぁああ!!」

成夜って、呼ぶはずだったのに。笑うはずだったのに。

自分の口から飛び出した声に自分でもびっくりする。それでも、その声を境に自分の中の何かが崩れ去り、ここが病院と言うことも忘れて泣き叫んだ。

自分の声が耳に響く。

回りに人が集まっていく気配はしたけど、泣き止むことはおろか、声を止めることも出来なくて、人目もはばからずただただ、泣き叫んだ。

少し間を置いて、きつく抱き締められる。そんなことをするのは、成夜以外にいるはずもなくて、成夜の肩に顔を押し付けられても、泣き止むどころかなぜか更に泣き叫んでしまった。
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