私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)

時間が迫る。そろそろ戻らなきゃないけない。

それに、これ以上2人きりで話しているべきじゃないと理性が自分を責める。

「ごめんなさい。そろそろ控え室に戻ります」

早口になってしまった言葉。

季龍さんを見ないようにうつむき、頭を下げる。そのまま彼のよこを通りすぎようとしたけど、その行く手は彼が半歩移動しただけで簡単に阻まれる。

「琴音」

「…」

反応してしまいそうになったのを堪える。

花束を抱いたまま固まっていると、目の前に手を差し出された。

「俺と来るか?」

「…え?」

今、何て言った?

恐る恐る顔を上げると、真剣な目と視線が重なる。…本気、なの?季龍さんは、本気で私を誘ってる?

1度は捨てたはずの未来を、季龍さんはまだ、諦めてない…?
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