私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)
「お披露目もせずになにやってるんだよ」
「過去とバイバイしてきたの」
「なんだそれ」
差し出された手に自分の手を重ねる。
手を引かれるままに教会へ戻っていく。
始まった結婚式には、たくさんの友人が駆けつけてくれた。当然、その中に季龍さんの姿はない。
でも、それでいいと思う。
目を閉じれば、あの濃密な時間を思い出せる。
笑い合った時間も、苦しんだことも、気持ちに向き合えなかったことも、結局最後まで伝えられなかった言葉も。
好きな人のことも。
でも、目を開ければ、旦那さんが私を見て笑っている。
私が歩むと決めた道は、この人との未来だ。
夢物語はもう終わり。
これからは、歩むと決めた本物の未来へ進む。