私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)
「暁、奏多と奏太に声かけてこい」
「ッ…いいんすか?」
「あぁ。…琴音が元に戻るための手伝いくらい、やらせてくれ」
「ッはい!」
嬉しそうに、そんな言葉が似合うような顔で暁は駆け出していく。
琴音に視線を戻すと、いつの間にか視線は俺に向いていた。琴音の頬に触れる。表情は変わらねぇ。
「琴音、行くぞ」
「…」
返事はない。それでも、手を引けば琴音は付いてくる。
どれだけ琴音が歩けるのかは分からねぇ。それでも、ここまで動けるんだ。外に連れ出すのだって、きっといい刺激になる。
僅かに見えた希望に縋りつくことしかできねぇ。それでも、これ以上、琴音の隣を歩くことに恥を感じないためにも、出来ることはやってやりたい。
琴音の肩を抱く。琴音の歩調に合せて進みながら屋敷の中に戻った。