私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)
一方、琴葉を連れた成夜は出鱈目に路地を突き進んでいく。
背後からの追っ手は3人。それを撒いて何とか逃げなければ。
そう決意した瞬間、琴葉の手を引く腕が伸びる。琴葉の足が失速し始めていた。
「ッ琴葉!走れ!!」
「ッ…」
返事はない。だが、ここで足を緩めるわけにはいかなかった。
琴葉を引く腕を何とか引っ張り、琴葉の足を進めさせる。
既に入ってきた方角も分からない。だが、背後の足音が先程よりも小さい。撒けるか…。
そう判断しかけたが、正面に続く道が行き止まりになっているのを見て、右手曲がった瞬間足を止めざる終えなかった。
行き止まりだ。袋小路だったらしい。
舌打ちしそうになったが、来た道を振り返る。追っ手は1人。強行突破すれば何とかなる。
踏み出そうとしたとき、肩に触れた重みに視線を向けるなり目を見開く。
「琴葉!?」
顔色が悪い。いや、それを通り越して青白い顔をしている。
そのまま膝をついた琴葉を抱き止めた成夜だが、理解ができなかった。