私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)
声に引き戻される。
季龍さんに抱き締められていた。…手が震えてる。体が、震えていた。
「琴音、大丈夫だ。ここに怖いもんなんかねぇよ」
「…季龍、さん」
「ん?」
「…季龍さん」
バカみたいに、呼ぶことしかできない。
離れないで。傍にいて。ずっと、抱き締めていて…。
伝えたいことはたくさんあるのに声にできなくて、ただ季龍さんの服を握ることしか出来なかった。
急に体が倒れていく。季龍さんの体にしがみつくと、ぬくもりに包まれた。
恐る恐る顔をあげると、すぐ近くに季龍さんがいて、子供をあやすように撫でられる。
「これでも寝れないか?」
「フルフル」
「なら寝ろ。今は休めばいい」
まぶたが落ちていく。心地いい闇が迫ってきて、抗うことなく落ちた。