私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)
「ッチ」
舌打ちと共に抱き上げられる。思わず季龍さんの首に手を回したけど、もう、歩けるのに…。
「季龍さん、歩けます」
「黙ってろ。病み上がりだろうが」
その声はイラついたまま。それでも、私を支える手は優しくて、季龍さんを疑った自分を責める気持ちで心は埋め尽くされた。
抱っこされたまま連れてこられたのは、私が使っていた部屋。
季龍さんが触れることなく開いた襖の向こうには、奏多さんと暁くん、信洋さんの3人が待っていた。
「ここちゃん、気分はどう?」
「大丈夫、です」
「…大丈夫なんて顔してないよ」
簡単に覆されてしまう虚勢。信洋さんはしょうがないなって顔をして私の頭を撫でる。
「心配だろうから、先に言うね。内藤成夜くんは家に帰したよ」
「…本当、ですか?」
「証明しろって言われても無理だよ。…でも、俺を信じてくれない?」