私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)
「ッ…はぁはぁ」
息が苦しい。喉が焼ける…。
喉に手を当て、呼吸を繰り返していると電子音が耳に入ってくる。その正体は枕元においたスマホのアラームだった。
アラームを止め、息を吐く。
…夢、か…。
最悪の夢見に冷笑が浮かぶ。
もう何度目だ。この夢を見るのは…。琴音を守れなかった俺を責めるように何度も、何度も繰り返す夢。
忘れていた痛みを思い出す。喉が焼ける痛み、急激に温度を失っていく体。そして、死にかけた琴音の顔…。
寒い。汗にまみれたスエットは体を冷やしていく。震えていた右手を抑え、ベッドを出ようと足を布団から出す。
立ち上がる直前で動きを止め、振り返る。
あの日から、1度も目を覚まさない。ずっと眠り続けている琴音。
そっと髪を撫でる。
「琴音、朝だぞ」
「…」
返ってこない返事。これを繰り返す日々。
あの日から今日で丁度半年。琴葉が眠り続けて半年が経とうとしていた…。