私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)

不意に、口を塞がれる。季龍さんの瞳と至近距離で視線が重なる。

……今、季龍さんとキスしてる…?

「…琴音、忘れろ」

「…え?」

季龍さんの顔がまた近づいてくる。タオルを持つ手を掴まれた途端、自然と力が抜けてタオルが落ちる。

バカな顔をしてた。

でも、そんなこと考えることすら出来なくて。

「ぁ…」

季龍さんに翻弄されるまま、力が抜けていく。

気づいた時には、季龍さんに身を任せていた。

「全部忘れろ。他の男のことなんか、全部」

―全部忘れて、俺だけを見てろ

耳元で呟かれた言葉に心は一気に熱くなる。

…ねぇ、季龍さん。

私は、あなたの隣に立つ権利はきっと持ってない。

でも、…でも。少しだけ夢を見ることは許されますか…?
< 88 / 407 >

この作品をシェア

pagetop