私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)

信洋さんに見つめられる。息が詰まりそうになる空気に、思わず視線を逸らす。

「…琴葉ちゃん」

肩が揺れる。琴葉と、そう呼んだ。

青い画面が目に焼き付く。また視界にノイズが走る。

「ねぇ、琴葉ちゃんは」

『このセキュリティーは完璧です』

「知ってるんじゃない?」

『どうしてここにいる!?』

「この画面を……」

『殺せ。…今すぐ!!』

「……パスワードを」

『琴葉』

「っ琴音!」

視界が真っ黒になる。

気付けば後ろから抱き締められていて、片手で視界を塞がれていた。

背中越しに心臓の音が響く。…季龍、さん?

「信洋、どういうつもりだ!」

「あっれー?若戻ってくるの早くない?」

「とぼけるな!!琴音をこの部屋に連れてきた理由はなんだ!こいつに裏社会のことは見せるなと言っただろう!!」

季龍さんの声が体に直接伝わってくるみたいだ。

体が熱くなる。心臓の音が速くなる。やだ、こんなこと考えてる場合じゃないのに…。
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