私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)
「若は甘いねぇ」
「あ!?」
「…本当に手放したくないなら、こっちに引きずり込んじゃえばいいのに」
「ッ信洋、てめぇ!」
「そこまでです」
季龍さんと信洋さんに割って入った声は田部さんのもの。
…どうして、田部さんが?
季龍さんの手は外れないまま。でも、季龍さんが振り返ったから、田部さんが恐らく襖のところにいるのは何となくわかった。
「旦那様がお呼びです。すぐに離れに来てください」
「…分かった。琴音を部屋に置いたらすぐに」
「いいえ。琴音さんも一緒にと、旦那様の言伝てです」
「琴音も…?」
季龍さんの視線が向けられたのが何となく分かる。
…源之助さんに最後に会ったのは1週間前。
丁度、意識を持って目が覚めた時だ。
その時は何もいってなかったけど…。