私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)

「若は甘いねぇ」

「あ!?」

「…本当に手放したくないなら、こっちに引きずり込んじゃえばいいのに」

「ッ信洋、てめぇ!」

「そこまでです」

季龍さんと信洋さんに割って入った声は田部さんのもの。

…どうして、田部さんが?

季龍さんの手は外れないまま。でも、季龍さんが振り返ったから、田部さんが恐らく襖のところにいるのは何となくわかった。

「旦那様がお呼びです。すぐに離れに来てください」

「…分かった。琴音を部屋に置いたらすぐに」

「いいえ。琴音さんも一緒にと、旦那様の言伝てです」

「琴音も…?」

季龍さんの視線が向けられたのが何となく分かる。

…源之助さんに最後に会ったのは1週間前。

丁度、意識を持って目が覚めた時だ。

その時は何もいってなかったけど…。
< 95 / 407 >

この作品をシェア

pagetop