私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)
離れに着くと、源之助さんはいつもと変わらない様子でそこにいた。
でも、いつも優しく笑みを浮かべている源之助さんが、心の奥で笑っていないように見えたのはきっと気のせいじゃない。
「親父、どういうことですか」
口火を切った季龍さんは前振りなしに本題に切り込む。
対する源之助さんは静かに笑みを浮かべたまま、視線は私に向けられている。まるで、季龍さんを相手にするつもりはないと言うように…。
「琴葉ちゃん、この人を覚えているかい?」
案の定、源之助さんは季龍さんの質問には答えず、私に1枚の写真を差し出してきた。
迷ったけど、無視することは出来ずにそれを受け取る。
写っていたのは、白髪の女性だった。
『琴葉ちゃん』
ズキッと頭に痛みが走る。
優しい声。…聞いたことがある声。
この人は……。