青い恋人たち 上
タクシーで学校前に着き、お金を払うと真央は慌てて走り出した。
少年もタクシーから降りるが、走ろうとしない。

それに気づいた真央は足を止め、振り返る。
のんびりと歩く少年に、さっきからイライラしかしない。

「ねえ!急がないと遅れるよ!」

一応こちらを見るも、視線を下に移し、走ろうとしない少年に真央の怒りは頂上まで達しそうになった。

「ああ、もう!」

少年のことは諦め、無我夢中で真央は走る。校門を抜け、そのまま教室へと直行する。

「おはようございます!」

勢いよくドアを開けると、そこには人が誰もいない…と思ったが、1人いることに気がついた。

大きい体にキリッとした眉毛。厳つい目のした柔道部顧問の徳永先生だ。

生徒の中では密かに『ゴリラ』と言われている。

「これはこれは田中真央さん。2年生になったというのに1年の教室に来る上に遅刻とはねぇ。………………さっさと自分の教室行け!!!!」

「はい!!!」

授業初日に遅刻し、
バスで爆睡したために変な男に会い、
着いたら着いたで教室を間違える上にゴリラに怒られ、
真央は朝からくたくただった。
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