青い恋人たち 上
「広瀬くんの高校ってどんなとこだったの?」

「……別に普通。」
「スッゴクかっこいいから芸能高校から来たのかと思っちゃったっ!」

「……どうも。」
「泰致くん誕生日いつ?どこらへんに引っ越して来たの?」

「…あー、いつだったかな。」
「ええ自分の誕生日知らないの?おもしろ〜い!」

広瀬が転校してきてから1週間。

入学式も終わり、本格的に真央の高校では授業が始まる。

相変わらず広瀬の周りには女子がたくさん集まっている。
すでに名前で呼ぶ女子や、おだてる女子。きっと広瀬に好意を抱いているのだろう。

中でも、クラスの女子のリーダー的存在である、川原ひなこは特に広瀬の側にいるような気がする。

ひなこは、父親が社長でお金持ち。そして女子力が高いため、自然と女子の中のリーダー的存在となった。

しかし、我儘で自己中な所があるため、真央は少し苦手である。

1年生の時に青の連絡先を教えるように言われたものの青が断ったため教えられず、ひなことの関係はやや悪いかもしれない。

しかし、そんなことより気になること…というよりは、言いたいことがある。

広瀬本人に。


チャイムが鳴り、広瀬の周りにいた女子はゾロゾロと席へと戻る。

授業は国語の時間だが、担当の先生は高齢なせいか、大体来るのはチャイムが鳴って約10分後である。

真央は後ろに座っている広瀬の方へと振り返る。

広瀬はやっと1人になれた、とでも言ってるかのような様子であったが、真央が見るやいなや真っ直ぐこちらを見た。

「…あのさ、もうちょっと愛想よくしたら?」
「………」

ザワつく教室で真央はやや小声で言ったが、広瀬は何も答えない。

「誕生日ぐらい答えたっていいでしょ?」

「興味ないやつには教えたくない。」

最後にそう一言呟いたため、もうこんなヤツ知るかというのが率直な意見だった。

また、国語の先生が教室に入ってきたため、真央は前を向いた。

2年生になっても国語はこの先生であるが、
相変わらず授業は眠い。
まるで催眠術をかけられているようだった。
真央もうとうとと頬杖をついて眠りかけていた時、
後ろから、くしゃくしゃに丸められた紙のようなものが飛んできた。

その紙を開いて見ると、


『11月15日、誕生日』

と書かれていた。

真央は驚いて後ろを見ると、広瀬は机に顔を伏せて寝ていた。

(意外と素直…??)
真央はそう感じ、くすっと笑った。
< 14 / 18 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop