タイムスリップ
「海だぁああーーーーー!!!!」
電車を降りてホームから改札を抜けると眼下には海が広がっていた。
電車の窓から見るよりもずっと近い。
「へぇ~この駅ってこんな高いとこにあるんだ。」
言いながら海香も改札から出てくる。
「海香~!!めっちゃ綺麗だね!!」
「ね~意外とよきよき。」
「じゃあ~さっそく海に…」
「行かねーよ」
海香にバッサリ切り捨てられた。
「えぇえ~?なんでぇえええ~~」
「いやなんでじゃないから!宿に荷物置かなくてどうすんのさ!こんな大荷物背負ってくの!?」
「……じゃあさっそく宿に行こう!!えっとーこっち?」
地図を見ながら右へ歩き出す。
「ちょっと待った」
そう言って海香は私の肩を掴む。
「右じゃないから。そっちは真反対。正しいのは…こっちね」
海香は私の肩を掴んだまま体ごと左に向けさせる。
「ごめんごめん地図見るのってどうも苦手で…っていやなんで地図?スマホのナビで良くない?」
「え?んー私ナビより地図派だから。なんかナビに指図されるの嫌なんだよね。あとなんかナビって上手く使えないし、見方がよくわからん」
「なんじゃそりゃ…」
どうやら結那は意外とアナログ人間らしい。
地図を見ながらスタスタ歩く海香と雑談をしながら私たちは2日間お世話になる旅館へと向かった。