タイムスリップ
砂遊び
それから30分後。

「うっっみだぁあああ!!!」
「っだああああああぁぁぁ!!!」

私と海香は待ちに待った海に来ていた。
4月であまり暑くないとはいえ、やはり旅館からの約30分のウォーキングはそれなりに汗をかき、私はもう普通に海で泳ぎたかった。

「お母さんに内緒で水着持ってくれば良かったかなぁ…あちい…」

汗ばむ体を手で仰ぎながらぼやく。
同じ距離を歩いたはずなのに海香は泰然とした態度を崩さない。

「いや、持ってこなくて正解だと思うよ?4月になったばっかでまだ寒いし、数分後には汗が冷えて凍える希空が私には見えるね。
それと仮に泳いだとして海から上がったあとタオル忘れたとか言ってガタガタ震え始める。絶対。」

「ぐうの音も出ねぇ」

親友は私の事をよく理解してらっしゃる。

「まぁでもそれなりに歩いたし私もちょっと暑いかな。」

「今日の最高気温いくつだっけ?」

「26℃」

「泳げるじゃん」

「最高気温って言葉知ってる?」

「Hey Siri、現在の気温」

「20℃だよ」

「なぜお主が答えるのじゃ…あ、私Androidだったわ。」

「アホの子がおる…」

「まぁまぁ…って言っても私達海に何しに来たんだっけ?」

「希空よ…なぜ忘れるのだ…夜に花火する為でしょ?」

花火?ああ、そんな話もしたような気がする…あれ、確か花火係って…

「あ"ッッ………やばい………家に花火…忘れた…かも……」

「その人らしかぬ声を聞いた瞬間察したよ…まぁでも安心して。こうなると思って私花火持ってきてるから。」

「は!?マジ神!!!」

親友は私の事をよく理解してらっしゃる。

「じゃあもう夜まで海でやることなくね?帰る?」

そういうや否や、海香が荷物を持って立ち上がる。
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