タイムスリップ
「ちょちょまてい!!」

「何?やることないんでしょ?」

「このクソインドア派!!今日くらいアウトドアの私に合わせろ!!」

「いいよ、で、何するの?」

「あまりの張り合いのなさに私は大変驚いているよ。引き際よすぎるだろ。」

「で、何するの?」

「無視かよ」

というか、勢いで結那を引き止めたはいいものの、私も何したらいいかあまり分からなかった。

困ったな…取り敢えず砂遊びでも提案しとくか。

「じゃあs…」「あ、砂遊びは却k…」

「砂遊びしましょう!!!!!」

あっぶな、危うく却下される所だった。

「はいはい砂遊びね…綺麗な泥団子をより多く作った方の勝ちね。」

「泥団子www」

「希空さん?私は別に帰っても構わないのだけれど?」

「わー!!ごめんて!!!泥団子作るのすっごい楽しそう!!!!」

そんなこんなで海香発案の泥団子勝負に勤しむことおよそ1時間。

バケツに入れた水もすっかり茶色く濁り、時刻は16時を回っていた。

4月の空はまだ明るく、海の上に佇む太陽は未だに沈む様子を見せない。

「日、だいぶ伸びたよねー…」

手元の土の塊に少しずつ水を足しながら呟く。

泥団子作りは意外と難しく、私は1個に5分以上かけて泥団子をこねていた。

クオリティは、お世辞にも高いとは言えない。

所々が指の跡で凹み、今にも崩れそうな様子で私の周りを転がっている団子の数々は私の性格が如実に現れていて、思わず笑ってしまった。

隣にいる海香は私の声に反応を示すことなく作業に集中している。

以前、家庭科の授業で裁縫をやった時、細かい作業が好きだと言っていたのを思い出す。

好きこそ物の上手なれ。と言ったとこだろうか。

綺麗に整った数十個の泥団子が海香の横で整列していて、量もクオリティもどちらが勝っているかは一目瞭然だった。

こういう地味な作業というのは結構好きなのだが、クオリティが伴わないのが惜しいところだ。
私はめちゃくちゃ不器用なのである。

下手の横好きとはこういう事を言うのだろう。
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