医者恋シリーズ 俺様ドクターのとろける独占愛
「そんな驚かなくても」
「だ、だって……すみません……」
とことん心臓に悪い人だと内心少し恨みながらも、鼓動は大きな音を立てて鳴ってしまっている。
黙ってじっと見下ろされていて、距離を取るように一歩身を引いた。
「あの、なんでしょうか……?」
「なんでしょうかって、まだ君の名前も聞いてない」
「あっ! そ、そうでしたね」
さっき米澤先生が、各自で自己紹介してと言っていた。
そういえばみんな次々と挨拶していたようだったけど、私だけタイミングを逃してまだ名乗りもしていない。
「看護師の白雪です。白雪、芽衣子といいます。よろしくお願いします」
提げている名札を見せながら、名前を言うだけで精一杯といった私の自己紹介。
天笠先生はそれを聞いて「ああ、だからか」と納得したように呟いた。