医者恋シリーズ 俺様ドクターのとろける独占愛


治療だけじゃない。

薬を飲んでいなかった航くんに、厳しくも愛のある言葉を掛けてくれた天笠先生。

そして、あの夏祭りの日。
航くんを励まし、約束をしてくれた天笠先生。

先生はなんのことを言っているかわかっていないみたいだけど、私はそんな優しい気持ちにも感謝していた。


「とにかく、ありがとうござました」

「礼を言うなら、俺の方だ。いつもありがとう、助かってる」

「いえ! そんな風に言ってもらえるようなことは全然」

「お礼もしたいし、今晩とか予定どうかな、食事でも。航くんのオペが無事済んだ祝いも兼ねて」


え……え……えぇぇー!


「あ、はい、ぜひ!」


と、平然と返事をしている風を装いつつ、内心は大絶叫。

先生の方はサラッと誘ってきていて、動揺しているのは私の方だけだ。


「よかった。じゃあ、終わったら連絡して」

「は、はい。わかりました」


今日は帰ったら、ソーメンでも茹でて食べてから、撮り溜めたドラマでも観ながらゆっくりしようと思っていた。

やだ、どうしよう。

先生が去っていっても、急激に高鳴ってしまった鼓動はなかなか音を静めなかった。

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