医者恋シリーズ 俺様ドクターのとろける独占愛


落ち着かない気持ちのまま仕事を上がり、更衣室でいそいそと着替えとメイク直しを済ます。

事前の約束をしていたわけじゃなかったから、今日はロゴTにデニムのワイドパンツという思いっきり普段着だった。

仕事が終わったらそのまま食事に行くという流れみたいだから、この服装はもう諦めるしかない。

この間みたいな場所には相応しくないから、今日は気楽に入れる居酒屋とかだとありがたい。

病院関係者用の出入り口付近で、とメッセージをくれていた先生は、支度をして出て行くとすでに外で待っていてくれた。

白衣を脱いだスリーピース姿は、それはまた新鮮な格好良さだった。

出勤時には着ていたと思われるジャケットは片手に、シャツにベストだったけど、シャツの腕の部分にはさり気なくイニシャルが刺繍されていて、オーダーを身に付けていることを知ってしまった。


「クロワッサン、焼いたんだよね、ちょうど今朝」

「……へっ?!」

「前に、食べにくるかって約束したからさ。あれ? クロワッサンじゃなかったか? 好きなパン」

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