医者恋シリーズ 俺様ドクターのとろける独占愛


「白雪ちゃん、なんて子どもたちに呼ばれてたのは、苗字だったのか」

「あ、はい。そうだ! それなんですけど、子どもたちが私のことを“白雪ちゃん”って呼ぶのは、愛称みたいなものなので、構わないんです。なので、今後は怒らないであげてほしいんです」


初対面の子どもたちには、いつも童話の“白雪姫”を出して自己紹介する。

名前を覚えやすいように。
親近感を持ってもらえるように。

だから、子どもたちが“白雪ちゃん”と呼んでくれるのは全く問題ないし、むしろ嬉しいくらいだ。


「すみません、私が頼りない感じだから、子どもたちに舐められてるように見えましたよね……そういうんじゃないので、ほんとに」

「じゃあ、俺も白雪ちゃんって呼べばいいのか?」

「えっ?!」


思ってもみないことを聞かれて、反応した声が裏返った。

「えっと、あの、はい」と慌てて返事をしているあいだも、真顔でじっと見下ろされている。

冗談言ってるような顔でもないし、すっかり困ってしまった私は「お任せします!」と話をまとめていた。


「わかった。よろしく」


動揺している私に構わず、天笠先生は最後まで無の表情でその場を離れていった。

< 12 / 130 >

この作品をシェア

pagetop