医者恋シリーズ 俺様ドクターのとろける独占愛
「白雪ちゃん、なんて子どもたちに呼ばれてたのは、苗字だったのか」
「あ、はい。そうだ! それなんですけど、子どもたちが私のことを“白雪ちゃん”って呼ぶのは、愛称みたいなものなので、構わないんです。なので、今後は怒らないであげてほしいんです」
初対面の子どもたちには、いつも童話の“白雪姫”を出して自己紹介する。
名前を覚えやすいように。
親近感を持ってもらえるように。
だから、子どもたちが“白雪ちゃん”と呼んでくれるのは全く問題ないし、むしろ嬉しいくらいだ。
「すみません、私が頼りない感じだから、子どもたちに舐められてるように見えましたよね……そういうんじゃないので、ほんとに」
「じゃあ、俺も白雪ちゃんって呼べばいいのか?」
「えっ?!」
思ってもみないことを聞かれて、反応した声が裏返った。
「えっと、あの、はい」と慌てて返事をしているあいだも、真顔でじっと見下ろされている。
冗談言ってるような顔でもないし、すっかり困ってしまった私は「お任せします!」と話をまとめていた。
「わかった。よろしく」
動揺している私に構わず、天笠先生は最後まで無の表情でその場を離れていった。