医者恋シリーズ 俺様ドクターのとろける独占愛


そう答えた私から、先生の手がまだコーヒーの半分残るカップを取り上げる。

それをさっき置いた眼鏡の隣に置くと、振り返ると同時に横から両手で私を抱き締めた。


「じゃあ……結果的に、惹かれ合ったんだな」

「え……?」

「だって、そういうことだろ」


笑ってくださいと注意したその衝撃をきっかけに、先生は私のことを好いてくれた。

私がそう言ったことで、先生は応えようと努力をしてくれた。

その結果、私も先生の笑顔にやられてしまった。

私が起こしたあのとんでもないアクションが、私たちを結びつけたと言っても過言ではないのかもしれない。


「そうかも、しれませんね……」


自らも先生へと腕を回し、抱き締め返す。

と、そのまま上体を倒され、先生は私の首筋に顔を埋めた。


「あのっ、コーヒーの残りがまだ」

「またあとで淹れるから、黙って」


まだ飲み途中だったコーヒーがすっかり冷たく冷えてしまったことは、言うまでもない。






Fin*


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