医者恋シリーズ 俺様ドクターのとろける独占愛
「……あの、先程は……失礼しました」
陰口のようなものを思いっきり本人に聞かれてしまった気まずさったらない。
私の印象が悪くなったことは間違いないだろう。
「別に気にしてない」
だけど、意外にも天笠先生から返ってきた返事はあっさりしたものだった。
いや、もう呆れてどうでもいいという意味かもしれない。
気まずい空気が流れ始めたそんな時、「あら、二人揃って」と私たちに向かって声が掛けられた。
やって来たのは、私がお昼に出る時にはまだナースステーション内で仕事をしていた師長だった。
「私も一緒に、いいかしら」
「どうぞどうぞ!」
間が持たなかっただけに、師長の登場は私にとっては救いの手。
私よりも二十歳上になる師長は、話し上手で笑い上戸だから、こういう場にいてくれたら和やかに話題を提供してくれるはずだ。