医者恋シリーズ 俺様ドクターのとろける独占愛
「今日付き合ってくれたお礼に、お昼でもどうかなと思って」
「えっ、そんな!」
「時間、大丈夫って言ったよな?」
「それは、はい、言いましたけど……」
そうこうやり取りをしているうちに上昇するエレベーターがやってきて、「行くぞ」とぽんと背中を押される。
促されて乗り込んだエレベーターで、天笠先生が階数表示前に乗っていた他の乗客に「三十九階お願いします」と声を掛けていた。
一階からそこそこの人が乗り合わせ、エレベーター内は混み合っている。
次々に乗ってくる人たちに流されて、一番奥の壁際まで追いやられていた。
それにしても、三十九階ってかなり上の階だ。
もちろん行ったことのない上階。
このビルの高層階に、最高の眺めを楽しめる人気のレストランがあるというのは知っている。
でも、確か予約が必須だと聞いたことがある。
越してきたばかりで、この辺りのことを教えてほしいと言って誘ってきた天笠先生が、そんな場所を事前に予約しているとは考えにくい。
と、なると……。
なんて一人考え込んでいると、二階に停まったエレベーターに更に人が乗り込んできたらしく、前に立っていた中年のおじさんが一歩後退してくる。
最奥で避けるに避けれないで潰されかけた時、横から引き寄せるようにして肩を抱かれていた。