医者恋シリーズ 俺様ドクターのとろける独占愛
「すっ、すみません」
急に接近してしまった距離に声が上擦る。
離れるに離れられない状況の中、すぐ目前に迫った先生の胸元に鼓動の音が主張していくのを感じながら、どこを見たらいいのかわからず顔を俯けていた。
息を潜めてじっとしているうち、他の階で乗客が降りていき、エレベーター内にゆとりが出てくる。
肩にあった先生の手は、何事もなかったように自然と離れていった。
元の距離感に戻っても、高鳴った心臓はドクドクと音を鳴らし続けている。
緊張がバレないように上昇する階数を見つめて落ち着きを取り戻すうち、エレベーターはあっという間に目的の三十九階に到着した。
「降りるよ」と先生に声を掛けられて、そそくさとエレベーターをあとにする。
初めて登った高層タワーの上層階は、ホテルライクな落ち着いた雰囲気のフロアだった。