医者恋シリーズ 俺様ドクターのとろける独占愛
越してきたばかりの先生が、まさか……。
行き先は、そう思っていた眺望が最高の予約必須のフレンチレストランだった。
入り口に立つ黒服の男性に予約をしていることを告げた天笠先生は、背後に佇む私へと振り返る。
「先生、ここ」
「来たことあった?」
「いえ! まさか、ないです! こんな素敵なところ……」
落ち着きのない私を天笠先生がクスッと笑ったタイミングで、黒服の男性が「ご案内いたします」と声を掛けてくる。
店内を進んでいくと、全面に高い天井までがガラス張りの明るい空間が広がった。
広々としたそこに並ぶ席は、クリーム色のクロスが掛けられ、背もたれの丸いダークブラウンカラーの椅子が入る。
正装で着てないけど!?と一瞬不安にフロアを見渡したけど、お昼のランチというのもあってか、そこまで堅苦しい格好をしている人は見受けられなかった。
案内されたテーブルは、ガラス張りの絶景が望める最高の席だった。
スタッフの男性が引いてくれた椅子へと「すみません」と静かに腰を下ろす。
左手に見下ろす街に、「すごい……」とつい呟いてしまっていた。